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しかし俺は、こういう女が一番やっかいだと言うことを経験上よく知っていた。
得意先の社長の娘とあれば、邪険にもできないが・・・・。
少し困ったことになったぞ。
「ちょっと失礼します」
俺は亮子が置いたグラスに手を伸ばすことなく、携帯を手に持つと素早く立ち上がり中座した。
ドアを開け廊下に出た俺は、実際は電話などかかっていないケータイをスーツの内ポケットにしまい込んだ。
「ふぅ~」
さてこれからどうする?
俺は一人考えながら、エレベーターのある踊り場でぼーっと立ち尽くしていた。
どれくらいそうしていただろうか。
突然背後から俺の名を呼ぶ女性の声に、俺はハッと我に返った。
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