6339人が本棚に入れています
本棚に追加
望月千秋という女性に出会ってから、ほんの僅かではあるが俺の中で気持ちに変化が生じていたのだ。
目を閉じ彼女を思い出すと、決まって俺の口元は自然と笑っていた。
千秋に特別な感情などはなかったが、初めて出会った未知なタイプの彼女に、俺の気持ちは大きく揺れたことだけは確かだ。
そうだ!
俺はおもむろに携帯電話を取り出すと電話をかけた。
相手は俺の親友であり、千秋の上司である向井彬だ。
「もしもし」
「崇?あーなに」
「彬、おまえひょっとしてまだ会社にいるのか?」
「悪いか」
相変わらず素っ気ない態度の彬。
こんな時間まで仕事をしているとは、こいつの勤労意欲にはこの俺も脱帽だ。
最初のコメントを投稿しよう!