親友 向井彬

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望月千秋という女性に出会ってから、ほんの僅かではあるが俺の中で気持ちに変化が生じていたのだ。 目を閉じ彼女を思い出すと、決まって俺の口元は自然と笑っていた。 千秋に特別な感情などはなかったが、初めて出会った未知なタイプの彼女に、俺の気持ちは大きく揺れたことだけは確かだ。 そうだ! 俺はおもむろに携帯電話を取り出すと電話をかけた。 相手は俺の親友であり、千秋の上司である向井彬だ。 「もしもし」 「崇?あーなに」 「彬、おまえひょっとしてまだ会社にいるのか?」 「悪いか」 相変わらず素っ気ない態度の彬。 こんな時間まで仕事をしているとは、こいつの勤労意欲にはこの俺も脱帽だ。
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