親友 向井彬

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会話を聞いていたのだろう、俺が言うより先に荒井は車をUターンさせ、約束の店へと走らせた。 *  *  * 「よう!」 「おう!」 しばらくして黒服の店員に案内され彬が俺の前に現れた。 仕事熱心なのは分かるが、少し痩せたんじゃないか? 俺の前に座る彬を気に掛けながら、俺はグラスに手を伸ばした。 「何かあったのか?」 先に口を開いたのは彬の方だった。 「別に。ただこうしておまえと飲みたくなっただけだ」 俺はそう答えると、グラスの水割りを彬に差し出した。 昔から彬は思っていることがすぐ顔に出る分かり易いタイプだった。
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