親友 向井彬

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彬はゆっくりグラスを置くと、観念したようにポツリと言った。 こいつ、すぐに認めやがって。 彬のこんなところは昔と少しも変わってない。 しかし何故か俺は、彬の潔い返事に難色をしめしていた。 ってことは、俺の作戦は無駄だったってことか。 せっかく「藤沢るい」を会社に送り込んでやったのに。 もう少し面白い展開が起きるんじゃないかと期待してたのにな。 実は酒を飲んだ後日、俺は彬の元カノと呼び声高い「藤沢るい」に連絡を取っていた。 彬が帰国していたことさえ知らなかった藤沢るいは、すぐに彬に会いに会社に乗り込んで行ったらしい。 これらのことは、すべて漣から報告を受け知っている。 まあ藤沢るいは結婚しているし、会社でも大した騒ぎにはならなかったようだが。 それにしてもつまらない。
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