親友 向井彬

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俺は新しく作った水割りを一口飲むと口を開いた。 「その通り!おまえの勘違いだ。俺のことは心配いらない。そんなことより乾杯しようぜ。彬に彼女ができた記念に」 これ以上詮索されるのを嫌がった俺は、話をそらすため心にもないセリフを吐き出した。 「なんだよそれ?」 眉をひそめてはいるものの、どこか嬉しそうな彬の顔。 そんな彬を見つめながら、俺は心の底から彬が羨ましいと思っていた。 家に束縛されることなく彬は自由を持っている。 そう考える俺の手が、自然とグラスに伸びるのは仕方のないことだった。 そんな中、彬がとんでもない話を持ち出してきた。 「俺、今度独立するんだ」 「はぁ~独立?」 彬の突拍子もない話に、俺は思わず面喰ってしまった。
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