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これがこいつなりの優しさなのかもしれない。
そんな彬に感謝しつつ、俺たちは無言で酒を飲んだ。
それぞれの思惑を抱え、夜は静かに更けていく──
* * *
その後彬と別れた俺は、荒井の車に揺られていた。
俺は終始無言で腕を組み、天井を仰いだ姿勢で座っていた。
運転中の荒井は一言も俺に話しかけてはこない。
それが少し不自然な気もしたが、今の俺にはあえてその方が良かった。
さぁーてこれからどうするかな?
天井を仰ぎながら、俺は静かに目を閉じた。
頭に蘇る千秋の顔、そして彬。
この夜俺の中で、千秋への想いが禁断の愛へと静かに変わっていった。
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