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俺は副社長室にいた。
就業時間は過ぎていたが、俺はイスの背もたれに寄りかかり、デスクの上に散乱している今日の会議の資料とファイルに目をやった。
その横に置かれた白い封筒。
彬から届いた新会社開設の案内状だ。
彬は俺に告白した通り、その後父親の会社を独立し、自身の会社を設立した。
もちろん秘書である望月千秋を連れて。
ふと封筒に手を伸ばし、おもむろに見つめる俺の頭に、突如あることが閃いた。
俺はすぐに受話器を取ると、封筒に書かれた番号に電話をかけはじめた。
「はい。向井コンサルティングです」
電話に出た彬の声に少しがっかりしながら俺はしゃべり始めた。
「俺だよ俺。彬、会社設立おめでとう!」
「おう、崇か。それを言うためにわざわざ会社に電話をくれるとはな」
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