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受話器の向こうで彬が照れたように笑っている様子に、俺の口元はニヤリとなった。
「それだけじゃない。祝福を兼ねて俺からもう一つ。是非仕事を頼まれて欲しい」
「仕事の依頼か?」
「そうだ。でなきゃわざわざ会社なんかに電話はしないだろ」
本当は会社に電話をすれば、千秋の声が聞けるかもと期待した部分もあった。
けどそれは叶うことはなかったが、俺にはまだ秘策があった。
「で、仕事と言うのは?」
「ああ。我が社の経営分析ならびに経営診断をお願いしたい」
「KURATAのか?」
「もちろん」
あまりに大きな仕事が舞い込んだことで、感情の起伏が少ない彬もさすがに動揺したのか、しばらく沈黙が続いた。
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