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「けどさぁ仮にもおまえの秘書だろ?だったら同行させるべきだ」
俺はつじつまの合わない御託を並べ、彬を説得にかかった。
「おまえ、自分が何を言っているのか──」
「つべこべ言うな!そういうことだ。時間は明日にでもこちらから折り返し電話する。じゃあな彬、よろしく頼むぜ」
俺が彬のセリフを遮ると、すっかり気分を害したのか、彬は「ああ」とだけ答えた。
電話を終えた俺は、顔をニヤニヤさせながら受話器をおいた。
よしっ、これで久しぶりに千秋に会える。
何か月ぶりに会う千秋に胸を熱くしながら、俺はふと窓辺に視線を移した。
ブラインドから漏れていたオレンジ色の淡い光はすでに消えていた。
もうこんな時間か・・・。
俺はデスクに散乱していた資料をひとまとめにすると、帰り支度をするためイスから立ち上がった。
すると突然、俺のスーツの内ポケットのケータイが鳴った。
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