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「もしもし?」
「あっ、倉田さん?静香です」
静香──
一度食事に誘い、二度目に会った時深い関係となった女だ。
もちろん彼女を本気で愛してなどいない。
静香もそれは承知の上のこと。
束縛することなく楽しい時間を共有する、言うなれば互いに都合のいい関係だ。
その静香が俺に電話をかけてくるとはいったい──
「ごめんなさい、今お忙しかったかしら」
「いいえ。仕事も一段落ついたので、帰ろうとしていたところです」
「そうよかった!実は今夜お会いしたいと思って」
遠慮がちに言う静香の甘えた声が、ケータイ越しに俺の耳に響いた。
「ええ、いいですね。喜んで」
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