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俺の返事に気をよくしたのか、静香は、じゃあいつものところでお待ちしてます、と言うと電話を切った。
俺は再び受話器を取り、内線で荒井を呼び出すと、車を玄関にまわしておくよう指示した。
「これからはプライベートだ。俺は先に帰る」
車に乗り込んだ俺は、荒井にそう告げると、自ら運転し一足先に会社を出た。
* * *
俺たちはホテルのレストランで待ち合わせ、フランス料理を味わっていた。
「副社長今日はなんだか嬉しそう」
静香が俺を見ながらふいに言った。
「そうかな?」
「ええ。いつもよりずっと表情が柔らかい感じだわ」
そう言う静香も、俺に極上の笑顔を向けた。
「何かいいことでもあったのかしら?気になるわね」
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