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「別に何もないですよ」
やんわりと否定する俺に疑いの目を向けながら、静香はグラスを合わせた。
現役モデルの静香は、スタイルがよくシャープな顔立ちをしていた。
笑うと頬にえくぼができ、愛嬌のある女だった。
静香とは、あるパーティー会場で偶然知り合ったのだが、俺をKURATAの人間だと知って近づいてくる女連中の中の一人だった。
軽く相手をするくらいならというつもりで、俺は近づく静香の誘いにのった。
だが、男と女の関係になった以上あまり深入りもできない。
関係を続けることで、スキャンダル問題に発展するのを避けたかったからだ。
そんな俺だったが、今夜いとも簡単に彼女の誘いにのってしまったのは、やはり千秋に会えると言う喜びに俺はどこか浮足立っていたのかもしれない。
「ねえ倉田さん。食事が終わったらいいかしら?」
静香はそう言ってルームキーを俺に見せた。
静香はなんのためらいもなく、俺との情事を誘ってきたのだ。
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