再会

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俺たちは早々に食事を済ませると、彼女の用意した部屋へと向かった。 エレベーターの中で静香が俺に身を寄せてきた流れで、俺はその肩をそっと抱いた。 フワリと薫る彼女の髪に顔を埋めながら、俺は千秋のことを頭に思い浮かべていた。 「倉田さん・・・」 ドアを開けた途端静香は俺の唇を強引に奪い、ドアが閉まるころには俺たちはベッドの上にいた。 千秋を頭に浮かべながら、俺は静香に誘われるまま自身の欲心を彼女の身体に刻みつけた。 なめらかな肌を滑る指。 そして時折漏れる甘い囁き声。 ベッドの上でしなやかにしなる肢体に、荒々しい欲心を重ね合わせる。 必死に俺の腕にすがる静香を見下ろす一方で、俺は千秋の幻を頭に思い描いていた。
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