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そんな彼女に構うことなく、俺は身支度を整えるとドアを開けた。
背後から静香の悲痛な叫び声が飛んできたが、俺は決して振り返りはしなかった。
このような場面で胸が痛まない俺ではなかった。
がしかし、俺は決して深入りはしない。
最初から恋愛感情など、どこにもありはしないのだから。
そんないくつもの別れを経験している俺だったが、今日だけはさすがに罪悪感を感じていた。
千秋を思うあまり、自分の身勝手さを痛感していた。
すまない・・・・。
静香に悪いと思いつつ、俺はドアを閉めた。
静香に引き止められるのを恐れた俺は、足早にエレベーターに向かった。
するとエレベーター脇の非常階段から、荒井がさっと姿を現した。
俺を見つめる荒井の目は、まるで全てを見ていたかのように冷ややかだった。
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