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数日後──
とうとう彬と打ち合わせの日がやってきた。
静香の件以来、俺はすべての女との関係を絶った。
これが俺なりの罪滅ぼしであり、千秋に対する礼儀でもあった。
とはいうものの、千秋は彬の彼女。
それはこの先も変わらないだろう。
しかし俺はそれでもいいと得心していた。
手に入らない恋の辛さもまた一興かもな。
そんなうわべの強がりを言いながら、千秋を待ち焦がれる俺の腕時計が約束の時間を指した。
「いらっしゃい千秋ちゃん。会いたかったよ!」
俺の第一声に、千秋はひどく困惑していた。
副社長室にやって来た千秋は、以前会った時と少しも変わってはいなかった。
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