6338人が本棚に入れています
本棚に追加
髪の毛を後ろで一つに束ね、愛くるしい目をドキマギさせながら千秋はソファーに腰を下ろした。
俺に向けられる彼女の笑顔。
愛想笑いだと分かっていても、俺の胸は大きく弾んだ。
昔一度だけ感じたあの甘酸っぱさを、俺は思い出さずにはいられなかった。
俺はここぞとばかりに彬の目を盗んでは、千秋に熱い視線を送った。
まるでやっていることはガキと変わらない。
けど俺はやっと会えた喜びに、千秋に夢中になった。
一方千秋の反応と言えば、顔を赤くし目を白黒させるだけ。
まったく俺に気を許そうとはしない。
そんな俺の様子に気づいたのか、彬が気難しそうな顔をしながら、
「急いで資料を」
と千秋に命令し、無性に仕事の話を進めようとしてきた。
最初のコメントを投稿しよう!