メタ的な立ち位置からミステリを垣間見るとどうなるのか。

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「あなたが犯人です」  アトマツリは料亭に入ると開口一番そう言った。まだ何の事件も起こっていないにも関わらず、だ。 「アトマツリ、またか」  ウゴ警部は心底うんざりしたように言った。風変わりなこの探偵との付き合いがなまじ長い分、「何の?」と尋ねなくともわかってしまう。 「ええ、またです。この人は殺人をしようとしています」 「ったく、いつになったら俺達は仕事抜きで酒を飲むことが出来るんだ。おい、アンタ。誰を殺すつもりだ?」  ウゴ警部は懐から警察手帳を取り出して、突然失礼な言葉を投げかけられて驚いていた青年に尋ねる。 「な、なんですかアナタ達は!」 「俺はウゴ。こいつはアトマツリ。聞いたことねえか? 棺桶探偵だよ」 「か、棺桶探偵!? あの、死神と噂の……!?」  棺桶探偵、という言葉を聞いて青年が慄く。神経質そうな白い顔がさっと青くなった。
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