メタ的な立ち位置からミステリを垣間見るとどうなるのか。

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「ウゴくん、その呼び方はやめてくださいと言っているでしょう」 「これが一番手っ取り早いんだよ」  アトマツリはその小さな全身を使って不満を表したが、ウゴはそんなことはどこ吹く風といった様子で言葉を続けた。 「そういや、名前を聞いてねえな。教えて貰えるか?」  口とは裏腹に有無を言わせぬ雰囲気があった。ウゴような大男が凄めば、効果は覿面だ。 「え、ええ……。タナカです」 「なんだか普通の名前だな」 「そう言わないであげてくださいウゴくん。彼は序盤のスライムみたいなものです。大した名前は必要ないのですよ」  全国のタナカが暴動を起こしそうなことを平気で口走りながら、アトマツリは笑った。 「《思い出した》のか?」  彼の悪い癖だ。結末を思い出すといつもこうやって他人を罵倒しながら笑う。 「ええ。凶器も、被害者も、トリックも。その人は巷で噂の殺人鬼、《串刺しテナック》ですよ」
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