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「《串刺しテナック》と言やぁ……殺人の際に謎のメッセージを残すことで騒がれてた、あの?」
串刺しテナック。余りにも惨たらしいその殺人方法から、無責任な噂が飛び交い、背びれがつき尾びれがついて都市伝説と化した殺人犯。
「ええ、凶器は決まって尖った鉄パイプ。被害者の体からは睡眠薬の成分が検出され、念入りに刺し殺されていたため無差別殺人ではなく、怨恨の線で捜査が進んでいるとウゴくんは言っていましたが……」
「おい、そういうことを大声で言うな! 本来は内情を部外者に話してはいけないんだぞ!」
小声ながらも必死で囁くウゴを馬鹿にするように笑って、アトマツリは先程と同じ声量で言い放つ。
「いいじゃないですか。警部まで登りつめたのは私のお陰でしょう」
殺人の容疑を掛けられているタナカすらも白い目でウゴを見る。
「は、話を本筋に戻そう。お前の言い草じゃテナックは怨恨から殺人をしていたんではないのか?」
「ええ、今回はチンケな都市伝説が真実という珍しいケースでしたね、テナックは無差別殺人犯です」
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