神の御声は渡るのか、渡らないか

10/15
前へ
/260ページ
次へ
曰く。 「ふざけんなぁ!何ならあんたの一族の子供全部産むのやめろっつうの!――何なら私が力ずくでやってやるっ……!」 うぅむ、何とも母らしい勇敢な台詞だ。 呆気にとられる僕に父は更に笑う。 『お陰様で螢燈たちが黙ってさぁ』 そうだろう。螢燈達は終始普通の反応である。 そして呑気かつ恐ろしい捨て台詞のお陰で僕は産まれた。 父は一気にそこまで話した後、瞬きした。 『なあ、羽旭の守護妖は分かるよな?』 僕が頷くと父は更に続けた。 真剣な顔で。 『その壜の鎖は、変わった装飾がこらしてあってさ』 言いにくそうに父が続けた。 『羽旭の首を締める為なんだ』 僕は思わず自分の鎖に触れた。 普通の鎖だ。 それから僕は父に詰め寄った。 分かった、分かったよ、と焦る父が言った。 『お前が産まれる為には、やはり条件があってな―――』 箜が何か反逆の兆しを見せたら即刻母である羽旭の首を締める。 人質となる羽旭が抵抗を見せたら箜を引き渡し、遙斗を殺す。 そして。 『お前が二十歳の時に箜を、……お前を螢燈が殺す』
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加