神の御声は渡るのか、渡らないか

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螢燈達が目を見張る。 箜の妹。 「……冷夜な」 「あなたの妹で間違っていません」 曲げないシルヴィアにため息をつく箜。 螢燈達は戦意に満ちた眼で二人を睥睨した。 「冷夜を、連れては行かせん」 箜はため息をついた。 シルヴィアが長い髪を払う。 確かめるように箜が言い放った。 「母さんの次は冷夜か。母さんの自殺装置を折角壊したというのに」 あの『冷たい夜』で箜は三つの目的があった。 一つは殺戮による螢燈の滅亡。 二つは混乱に乗じての自殺装置の破壊。 螢燈を纏める総領の直接の部下『七の喰らう者』《セブン・イーター》の一人が装置を仕切っているため、『冷たい夜』の混乱はチャンスであった。 三つは箜と同じく無自覚な囚われにある冷夜の誘拐。 今危険を侵して動いているシルヴィアと箜の目的は果たせなかった冷夜の誘拐であった。 螢燈達はやっと五年前の真実に辿り着いた。 「まさか………貴様っ」 箜は気付かなかった螢燈をせせら笑う。 「そうさ。父さんの血筋は『そちらにいてはいけない』」 何故ならあの一族は政敵殺しの稀少な道具だったからだ。 「破魔一族はまだ怨んでいる」 いきなりシルヴィアが敬語を捨てて発言した。 破魔一族。
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