神の御声は渡るのか、渡らないか

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遙斗の一族だ。 シルヴィアは螢燈達を睨んだ。 「我等を嬲り殺した螢燈よ。我等はまだ、覚えている………!」 螢燈達は凍りついた。 「貴様、破魔か!」 箜が嗤う。 「そうだ。父さんの弟の娘だ。従姉妹だよ………」 シルヴィアがさりげなく横に移動した。 螢燈達は壜を取り出した。 生き残りが、まだいたか、と指揮を執る男が『後始末』する事に吐き気を覚える。 螢燈の一人が苦々しく悪態をついた。 「くそっ」 壜のコルクが落ちる音と共に煙が現れた。 「シルヴィア」 箜の低い呼び掛けにシルヴィアは肩を僅かに動かした。 「はい」 前を睥睨しながら箜が命令を下す。 「ここは任せた」 破魔一族にして復讐者と成り得たシルヴィアが満足そうに頷いた。 復讐したかった、とシルヴィアが呟く。 煙が晴れるとそこには数多の妖が群を成していた。 「箜」 シルヴィアが妖を見て邪悪な笑みを溢しながら呼んだ。 箜が振り返った。 瞑目したシルヴィアが、言う。 「レイヤに早く会ってみたいです」 きっと、可愛らしい妹なのだろう。 箜が笑った。 「あぁ」 鯉口を切り、鞘から剣を抜く。 この剣は妖を斬る為に造られた神剣で『白夜煌』(びゃくやこう)という物だ。
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