神の御声は渡るのか、渡らないか

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比較的、足の遅そうな妖を選んで切り伏せていく。 すると真っ直ぐ先へ続く道ができた。 箜は一切迷う事なく飛び込んで疾走した。 残って瞑目していたシルヴィアは、輝く紫水晶の瞳を見せた。 箜がかなり斬ったが数多残った妖が一斉に構える。 「――……シルヴィア・ロ・ミシェル、我は天使なり。我は神の名において、断罪をする神使なり……――」 破魔一族は神の力を請い借りて神力を発揮する一族だ。まさに神の声を渡らせる者。 霊力が発されシルヴィアの背中に純白の羽根が生えた。 そのまま破魔の能力を開花させたシルヴィアは群がる妖を叩きのめし、飛んだ。 「なっ………………」 螢燈達が口をあんぐりと開ける。 白のワンピースに紐のサンダル、そして純白の羽根。 まさに、ギリシャ神話の神の様だった。 幻か、と疑ってしまう程儚い神は羽根を一打ちした。 途端に重い霊力の塊が、妖と螢燈達を押し潰した。 「くっ……―――」 唸りながら地に這いつくばり、螢燈達は意識を途切らせていく。 憐れな末路の彼らが最後に見たのは。 実に幸せそうに降り立って目を細める残酷な神の姿だった。 ☆
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