神威の嘆きは伝わるか、伝わらないか

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「草薙、真白。真白だ」 あの人、強いかな。 「お母さん、草薙さんってどんな攻撃する?」 羽旭はあからさまに嫌な顔をした。 「……………あの、お母さん?」 内心冷や汗をかく冷夜に羽旭は嫌な顔をしたまま続ける。 「草薙さんって言うな。草薙の野郎でよし」 過去にどんな事があったんだ、二人。しかも野郎って。真白に言ったら確実に殺られる。 「冷夜。よく覚えておくといい」 「…………へ?」 奇妙に優しい羽旭に冷夜の声が裏返る。 「敵だと思った奴は徹底的に叩き潰せ」 「………………………」 だから二人は過去に何があったんだ。 しかも徹底的にだ。過去に羽旭は絶対真白に攻撃をして負けたのか。女って怖い。 「………お、お母さん、あの、真白さんって、どんな人?」 母のにこやかな笑顔が怖い冷夜は後退りながら訊く。 鉄格子が背中に当たった。 やばいっ。 「あんの草薙ぃ?名さえ言いたかないわ。無理っ」 ヤクザだ。反抗期なヤクザだ。 しかも独特な抑揚がつけられてて更に反抗期ヤクザだ。 「やぁ…………でも」 冷夜がどもると羽旭はうぅん、と考えた。 あぁ、鉄格子がなければ逃げたのにっ! ストップが唯一かけられる遙斗が恋しくなる。
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