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「…草薙の事か。そんなに情報欲しいの」
がくがく、と頷く冷夜。必死である。
羽旭は唸りながら歩き始める。
「いつも違う手を使ってくるしなぁ、……あ、あれか。うぅむ、でもな」
何回対戦しているんだ。怖いっ。キス魔の夜より女は怖いっ。
無意識に呟くと羽旭が睨んできた。
「夜に何されたって?」
よく妖退治の折にキスをしようとします。はっきり言って退治する妖より注意してます、とは言えず。
曖昧に微笑んで冷夜は誤魔化す。
「お母さんは何か思い出した?」
羽旭が頷く。
「えぇ。草薙は基本的に壜を使わない」
「えっ」
予想外の事に冷夜が驚く。
螢燈なのに。何だか勿体無い。
だがしかしっ、と羽旭が続けた。
「百本の剣を使う」
「ひゃっぽんっ!?」
何本手があるのだろうか。
無理だそんな相手、と頭を抱える冷夜に羽旭が笑う。
曰く。
真白は煙たがれる程の剣コレクターで優に千本を越える剣を所持する。
普段は選り抜きの百本を持ち歩く。二刀流である。
守護妖は弱いから滅多に出てこない。だから螢燈が苦手とする接近戦になる。
「選り抜きで百ですか」
もっと選り抜いて欲しい冷夜である。
それでまた笑える事に、と羽旭が大口開けて笑う。
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