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冷夜、お母さんより凄いからすぐできるの。
自信満々な冷夜に羽旭は苦笑を噛み殺した。
羽旭は滅多に出ない天才と名高い螢燈だ。セブン・イーターも一目置いている。
その羽旭相手に羽旭よりできると言い張る娘は強者だ。
冷夜は回想に浸る羽旭を訝しげに覗きこむ。
「あのう、お母さん。私鉄格子取れない」
羽旭がびくん、と我に返る。
そんなに驚く、と冷夜が首を捻る。
黙殺して鉄格子をみやる。
ふむ、と頷き羽旭は足の準備運動をした。
冷夜がぎょっ、と目を見開く。
「お、お母さん、何するつもり……」
元ヤクザの羽旭は渾身のキメ台詞を言った。
「なめんなよ!」
がつぅっ、と物凄い音と共に鉄格子が破壊された。
「ええええぇえ!?」
驚愕した冷夜の叫びが轟く。
がしゃんがしゃん、と鉄格子の欠片が転がり無惨な姿になる。
そのど真ん中に立つ羽旭が親指をつきだした。
「go to!」
英文にしては色々単語が足りないが冷夜は見ないふりをした。
それよりも箜兄に会わなくては。
冷夜は癖になっている静の壜を弄りながら走り出した。
羽旭が呟く。
「冷夜。私はあなたを愛してるから」
瞬間、潜んでいた影が羽旭に向かって飛び出した。
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