神の導を示す者はいるのか、いないか

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包帯をまく。 こんな時、腹の立つ笑い方をしながら包帯をまいてくれる母はいない。 傍らに白(しら)が哀しそうに立っている。 夜が机に座って空を眺めている。 うとうとしている静が机で丸まっている。 彼らは自分の意志で顕現(けんげん)している。 やっぱり優しい、と冷夜は思う。 「夜。机に座っては」 白がいつものように叱る。 「机は人に使われるが為にあるんだよ」 私達は人じゃないが、と心中静が突っ込む。 冷夜も苦笑している。 むっ、と眉を寄せた白が怒る。 「………だめでしょう」 夜が慣れた口調で言い返す。 「いいんだ」 真っ白な瞳と髪、純白の着物に薄青の簪を付ける数少ない女性、白は二十代前半でまぁ綺麗な妖だ。 本性は九つの尾を持つ純白の狐だ。 非があるのに、いけしゃあしゃあと言う夜は黒髪に黒の瞳、じゃらじゃら、と音を立てる宝石を巻き付けている。 黒のセーターにスラックス、宝石を飾っている漆黒のマント。怪盗みたいだ、と冷夜は思う。 本性は鋭い目付きの黒豹(くろひょう)だ。 そういえば、冷夜は静の本性をまだ見た事がないのだ。 無意識の内に、冷夜は現実から目を逸らしている。 怖い、もう私は孤児(みなしご)だ。
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