48人が本棚に入れています
本棚に追加
ここで会ったが百年目っ、と剣で串刺しになるのが安易に想像できる。
真っ青になる冷夜の傷をさっと見て颯は腕組みした。
あまり傷は負っていないからすぐ治るが、精神はどうかな…………。
お父さんっ子の冷夜は遙斗の死にショックを受けている。
事前に桜と話して良かった。
「冷夜」
「はい?」
振り向く冷夜に颯は至って真剣な顔で言う。
「一緒に暮らすか」
がきっ、と音を立てて固まる冷夜。
一緒に暮らすという事は、同棲(どうせい)って事で、ひとつ屋根の下で男女が暮らすのだ。
当たり前の事が頭の中で流れる。
「颯さん、本気ですか。脳の病院に行った方がいいのでは……」
「何の心配だ」
突っ込んだ颯が病室のドアを開けた。
笑顔で後ろを指差す。
「引っ越し屋、呼んどいたから」
引っ越し屋の面々が、帽子を取ってよろしくっすー、と頭を下げる。
ぽかん、と呆気(あっけ)に取られた冷夜はあれよあれよと移動させられる。
「わぁ、引っ越し屋さん、私は了承してないっ」
急かされてトラックの助手席に座る。
病室から少なかった荷物が運び出された。
颯が何故か運転席に乗り込み、楽しそうに言った。
「病室以外に居場所ないんだし、いいじゃないか」
最初のコメントを投稿しよう!