神の導を示す者はいるのか、いないか

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ほんとうに、ばかみたいな世の中。 その素直な事実の言葉はまっすぐ、胸に突き刺さった。 だが、心中は少しだけ、賛同もしていた。 沈黙した箜を優しさで待つシルヴィアが書類を嫌そうに見やる。 だから、僕はまだ『反逆』する。 箜は組んだ両手に顎を乗せた。 瞳に真剣な光が宿る。 段々増えていく書類に苦い顔をしながらシルヴィアが問い掛ける。 「二十歳まで、…あとどのくらいですか?」 破魔の血を持つ箜は、二十歳に死ぬ。 そんなふざけたもの、覆す。(くつがえす) 天井に睨みをきかせた箜は答える。 「2ヶ月とちょっと」 六月、十八日。 それが彼の誕生日。 シルヴィアが静かに頷き、普通な事のようにさらっ、と言った。 「時は残されていない」 ☆
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