神の耀きを知るのか、知らないか

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黙々(もくもく)と日記を書いて、やがてペンを放り出した。 集めた枯葉にマッチで火をつける。 よく燃える枯葉に、先程(さきほど)書いた日記のページを投げて入れた。 「わ、た、し、は………燃えちゃった」 文面を読もうとする少女に少年が声をかけた。 「またやってる」 呆れた口調に少女は焚き火を見詰める。 「燃やしたらお母さんに届くかなって」 それも聞いた、と少年が面倒そうに言って少女の隣に座り込む。 「何て書いたのさ?」 気が済んだ少女はホースを持ってきて、蛇口を捻る。 青いホースから水が飛び出した。 少女はよろめきながらホースを掴む。 ため息をついて少年がホースを持った。 礼を述べながら少女が答えた。 「近況と、日向 冷夜について。あと…………」 焚き火が、小さくなっていく。 煙に噎せ(むせ)ながら少女が蛇口の栓を捻る。 水の勢いが萎えた。 「あの時以来、ちゃんと憎んでいるよって、こと」 少年が、目線を逸らした。 そんなに憎まなくても、と小さく呟く。 聞こえなかった様子で少女はホースを纏め(まとめ)ながら続ける。 「日向 冷夜のせいで、お母さんとお父さんが死んだのよ、珀(はく)。赦さない(ゆるさない)………」
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