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花霞が息を呑む。
『莢』更には『行方不明』が出た時に、珀は殺気を出していた。
「莢の事なんて」
諦めたような、決め付けるような微妙な言い回し。
珀の言い聞かせる時の言い方だ。
「花霞に分かる訳がないだろ」
花霞は、何も言えなかった。
殺気に怯えた訳ではなく。
ふてくされている訳でもなく。
ただ、珀の言う事が正しく、自分が珀でも云うだろう言葉だったから何も言えなかったのだ。
「………珀」
項垂れて(うなだれて)花霞は小さく呟く。
激情にからかわれた自分が情けない。
「ごめんなさい」
珀は驚いたように目を見開いて、唇を引き結んだ。
「いいよ、別に」
すぐに答えて珀はでも、とつけ加えた。
「どう考えても日向さんは悪くない。復讐はしないで」
花霞はあからさまにえぇ、という嫌そうな顔になった。
しかし、迷うような素振りを見せて頷く(うなずく)。
「いいよ。けどね」
爛々と瞳を輝かす復讐者は協力者を呼び、耳に唇を近付けた。
「―――――だけは、やらせて?」
囁くと、肯定が返ってきた。
花霞は成功の考えを巡らせる。
さぁ、どうしようか?
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