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「こうきぃ・・・」
自然と口をついて出た彼の名前が、静かに響く。
昼間から必死で我慢してきたものが、もう限界まできていたのだろう。
目に熱が集中し始め、視界が霞む。
もういやだ、何もかも。
そんな時、暗く冷たい部屋にマナーモードにしたままの携帯のバイブが、一定のリズムを刻む。
その低い音を頼りに、手探りで暗闇から携帯を手にする。
まだバイブが止まらないということは、電話か。
こんな時に一体誰だ。
飲みの誘いなんかだったらどうしよう。
そんな心配は、携帯を開いて画面に表示される名前を見たときには、どこかへ吹き飛んでいた。
「もしもしっ!」
驚きと嬉しさと早く出なきゃという焦りと。
色んな感情が入り交じって、思った以上に大きな声が出てしまった。
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