あなたの声

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いやいやいや。 そんな「当たり前だろ」みたいな空気バンバン出されても。 家に来るなんて、そんな話聞いてない。 「ほとんど連絡できなくてごめんな。今日は定時で上がろうと思って朝からあちこち動いてたからさ、メールすんのも忘れてたわ。」 「何で?だって、ただでさえ忙しくなるって言ってたのに・・・」 「何でっておまえ、逢いにいこうって思ってたからだろ。とにかく、もう少しで着くからな。それじゃ。」 少し早口で電話を切った彼は、きっと今頃顔が赤くなっているはずだ。 通話を終えた携帯を少しの間眺めながら、顔が綻ぶ。 全く、罪な男だ。 なんてタイミングの良さなんだろう。 おかげで、暗く冷たい部屋に沈んでいた心は、トク、トクと温かいリズムを刻んでいる。
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