一言 試験開始

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「な、なんだありゃぁ!!?」 他の受験者の、驚愕する声が響く、 見た目だけで、この大型の船を上回る。 そして、大ダコの存在は、船の中に居る受験者も気付き、次々と甲板に出てきた。 『こちら操舵室!大ダコによって舵が効きません!受験者の皆さん!大ダコを撃退してください!』 船のスピーカーから、操舵者の声が響く、年季が入っているのか、少し雑音がかっている。 「女!そこで見てやがれ!この奈河崎様の力をな!」 しかし奈河崎はまったく怖気づかず、そのまま大ダコに飛びかかった。 タコの足は、飛びかかる奈河崎や、他の受験者に向けて襲いかかる。 「おらよっと!」 奈河崎の爪は、タコの足を容易く切り裂く、 食器のナイフと同じ要領で、奈河崎はタコを斬ったのだ。 「けっ!大したことねーな!」 奈河崎は大ダコへの攻撃は効いたと思った。 しかし輪切りにした大ダコの足は、すぐに再生した。 「なにっ!?」 足はすぐに、奈河崎や受験者を捕らえる。 「なによ、あの再生力……」 美舟も驚いていた、あそこまでの驚異的な再生力を持つ生物は、彼女の知識や、ましてはこの世には無い。 「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」 受験者は、次々と大ダコに喰われていく、 まさしく、悪魔の晩餐に等しい地獄絵図だ、 美舟は見るに堪えず、刀を抜いた。 「あたしが、やるしかない……」 目を大ダコに向ける。 そして、甲板を思いっきり蹴り飛ばし、大ダコに向けて斬りかかった。 「えっ?」 ふと、前に飛んでいた体は、後ろに後退していく、何かに掴まれ、後ろに引っ張られるように。 「行くな、あれは罠だぜ」 美舟の襟を掴んでいたのは、 会場に居た、トレンチコートの男だった。 「あ、あんた!?」 「あれは幻覚だ、分かってるのか?」 男は疑問系で返す、だが美舟には全然理解出来ない。 「だ、だって、受験者は掴まれているのよ!」 「『弾丸強化』『威力倍』」 拳銃とは思えない大きな銃声が響くと、大ダコの体は散り散りになった。 と思えば、時間をあまりかけずに、体は元通りになった。 逆再生してるようで不気味である。 「あの驚異的な再生力、この世の生き物とは思えないだろ。とすれば、あれは幻覚だ」
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