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朝靄の中にわたくしはひとり
濁った瞳で足元を見下ろす
沼の淵には一輪の花
哀しい色で頭を垂れる
霞のかかった思考はどろどろになり
泥にまみれた足で枯れ草を踏み歩く
ぱきり
ぱきり
ぱきり。
絶望と孤独の音はわたくしを溶かし
朝靄に霧散するのだ
これほどまでに孤独を知るのなら
初めから君を知らずにいたかった
これほどまでに絶望を味わうのなら
初めから君を感じずにいたかった
嗚呼
わたくしの思考は
今や霞に同じなのだ
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