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―☆―
るぅをまもらなくては!!
その一心でかけだしたハナの後ろから聞こえてきたのは、紛れもなくその「るぅ」の名を呼ぶ声でした。
びっくりして立ち止まってしまったハナは、ドキドキしながら振り返りました。
「……るぅ?」
るぅ、っていったの?
この「るぅ」のことなの?
そんな疑問符が籠もった、ぽろりと零れた言葉に、おじいさんがゆっくりと頷くのが見えました。
どうしてか、ハナにはおじいさんがなにかをこわがっているように見えました。
そこで、ハナはぱっと思いつきました。
るぅがこわいのかな?
もしもそうならば、ハナは「ぜんぜんそんなことないよ」っておじいさんに教えてあげたほうがいいのかもしれません。だって、るぅはこんなにもかわいいのですから。
ハナは、るぅをぎゅっとだきしめて、一歩一歩おじいさんに近づいてゆきました。
るぅを強く抱きしめたのは、おじいさんがるぅをいじめるようなことがあったときにすぐ逃げられるように。
そんなこわい思いをしてまでハナがおじいさんのもとへ向かったのは、るぅをこわがっているおじいさんが、「こわいおじいさん」じゃなくて「こわくないおじいさん」に見えたからでした。
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