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るぅを撫でるおじいさんは、ハナが見たことのないやさしい目をしていました。ハナの頭の中に詰まっていた「どうしよう」はどこかにいってしまいました。
ハナがおじいさんに見入っていると、おじいさんの目がこちらに向きました。おじいさんと目が合ってびっくりしたけれど、こわくはありませんでした。おじいさんの目は優しいままだったし、それになにより、にっ、と、おじいさんが笑ったからです。
ああ、このひとは、るぅがすきなんだ。
おじいさんの笑顔を見たときに、すとん、とそれがわかりました。
わたしもるぅがすき。わたしとおんなじだ。
もう、おじいさんは「こわいおじいさん」ではありませんでした。「るぅのことがすきなおじいさん」です。
るぅはというと、おじいさんになでられながら、気持ちよさそうに目を閉じていたのでした。
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ハナの勇気とゲンゾウさんの笑顔が生まれた「小さな大事件」は、これでおしまい。
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