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それはまさに「小さな大事件」でした。
―☆―
「るぅ!るぅ!」
のどかな昼下がり、ハナの大きな声が家中に響き渡りました。
おとなしくて引っ込み思案で、保育園ではいつもすみっこにいるハナ。そんなハナがこんな大きな声を出すなんて、おかあさんやおとうさんがきいたらびっくりしたでしょう。
でも、いまはふたりともおでかけ。おとうさんは会社に、おかあさんは買い物に。ハナは、おかあさんにお留守番を頼まれているのです。
ハナは、家のなかをぱたぱたと走りまわりながら、机や椅子の下をのぞいては「るぅ!」と叫びます。
しかし、響くのはハナの声だけ。
「るぅ…るぅ……」
声はだんだんよわよわしくなり、しまいにハナはへたりこんでしまいました。
「るぅ…」
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