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―☆―
へたりこみ、うつむきながら、ハナは必死で涙をこらえていました。
だけどやっぱりこらえきれず、ぽた、ぽた、と雫がこぼれてしまいます。
しかし、ハナはごしごしと目をこすると、気丈にも再び顔をあげました。
そこでハナの目に入ったのは、玄関。もっと正確にいうならば、その引き戸。
引き戸が少しだけあいていたのです――るぅがなんとか通り抜けられるぐらいに。
引き戸のすき間を睨みつけるハナ。その目にはまた、涙が浮かんでいます。
これまで、ハナが外へ行くときは、いつもお母さんやお父さんと一緒でした。
―勝手に出てっちゃいけません―
そんな声が聞こえた気がしました。それでも、ハナはぐっと立ち上がり、玄関に向かって歩きだします。
玄関の前に辿り着くまでに、それほど時間はかかりませんでした。
ハナはおそるおそる引き戸に手をかけます。そして、ぐっと力を込めました。
ガラガラガラッ
引き戸は勢いよく開き、同時に
「るぅ!」
という、ハナの叫び声が響き渡りました。
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