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「ゆうちゃん、会いたかったっ」
小柄な体が俺の胸にすっぽりと入る。柔らかくて小動物にも見える。
幸いにもスタンガンはスイッチが切れていたようで、腹に当たっていても痛くない。
・・・さすがにスイッチ入ってたら、やばかったな。
というより、こんなに命の危険を感じたのは久しぶりだ。
「ゆうちゃんっっ、ゆうちゃんだよねっっ!?」
興奮したように(というか餌持った主人にしっぽ振る犬みたいに)彼女は昔のあだ名を呼びまくっている。
それにしても、こんなに落ち着きの無い子だったか?
それよりスタンガン持つ子だっただろうか。
俺の知っているこいつは「か弱い女の子」だった筈なのに。
「わ、分かった。分かったから・・・、一端落ち着いてくれっ」
「ハイっ!!」
しっぽを振り振りさせた「元か弱い女の子」である《横山姫》の頭を撫でてやった。
昔からこんな風に頭を撫で撫でしていた俺は、懐かしいような何とも言えないような気持ちになる。
・・・懐かしさと共に恐怖とも言える気持ちも襲ったが、大人しい姫を見て溜息が溢れる。
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