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「あ~~、暑ちぃ」
こんなに蒸し暑い日だと言うのに、結城は暑苦しい位大きな鞄を提げて、ぜぇぜぇ良いながら目的地に向かっていた。
住宅地でびっしりと詰まったように建っている建物を目にして、田舎育ちの結城にはただ何もかもが驚きだった。
けれどもしんどい事に変わりは無く、重い足をゆっくりとひたすらに前に動かす。
「しっかし、まさか両親共々海外出張だなんてなぁ」
いきなりの転勤話に、両親も首を振るつもりだった。
しかし話を聞く限り悪い話でも無く、寧ろこれからのチャンスでもあるような話に乗った2人は、昨日日本を旅立った。
結局俺は一人では生きていけない身なので、しょうがなく母さんの友達の家に居候する事になったのだ。
一応忙しい両親を持つ勇気は、家事全般に何でも出来る。
母さんよりも母さんらしい高校生なのだ。
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