第1章

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「ここにするか」 街の人に「どこか宿屋がないか?」と聞いて、教えて貰った方角に歩いていくと、たまたま宿屋があったのでここに決めた。 とりあえず、たまたま宿屋があったので。というと「聞いたんだから当たり前でしょ?」と言われかねないので言っておく。 方角だけでどこにあるかわかったら苦労はしないのだよ。 道が一本違ったら着けないのに、正確な情報を求めなかったあの時の自分を殴りたい。 ついでに「あっちの方にトーレスっていう宿屋があるよ」と曖昧すぎる情報を教えてくれた街の人も殴りたい。いくらなんでも曖昧すぎるだろ。 それで素直に感謝して示された方角に歩いていった俺は……まあ疲れていて思考力がなくなっていたんだと言い訳をしておく。 ここで宿屋の説明をしておこう。 宿の名前はアルマー。まずここでわかるだろうが、探していた宿屋ではない。 方角だけでもなんとか着くことが出来ました!とはならないのだ。俺は。 で、外見は大きくも小さくもなく、新しくもボロくもない。 まあこれ以上は中に入っていないので説明のしようがない。ということで早速中に入る。
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