第1章

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チャリーン 「らっしゃい」 まるでどこかの八百屋とか魚屋のような声で出迎えられた。 迎えたのはここの主人とおぼしき三十代後半であろう男性。 年齢以外は特に特徴のない……というわけではないが、説明するのが面倒なので省略。 その主人?は俺から見て左側にある机付きの椅子に座っていたのだが、あれ?という表情をしている。 主人?の思ってることは俺には簡単に分かった。 何故かというと、俺は何度もこの顔をみたことがあるから。 見飽きた。といってもいい。 この表情をしているとき、人は 「人が来たと思ったのにいない……」と考えているのだ。 理由が分かれば対処法は自ずと出てくる。というわけで早速 「ここにいますよ」 声をかける。 すると主人?の体が一瞬ビクッとなってから慌てて俺の方を向いた。
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