第1章

4/10
前へ
/13ページ
次へ
「……お一人ですか?」 主人(もう主人でいい)は恐る恐るといった感じで聞いてきた。 どうでもいいが、さっきの“らっしゃい”とは口調がまるで違う。 恐らく俺がいきなり現れた(ように見えた)ことから、俺のことをかなりの実力者とみて警戒しているのだろう。 まあこの世界では強さで態度を変えるのは別に珍しいことではない。というより普通だ。 媚びへつらったり、優遇したりはさすがに少ないが、口調を変えるぐらいは誰でもする。 誰だって無意味に怒らせて店に被害を与えたくないからな。 まあ実際主人が俺に気付かなかったのは普通に影が薄い(能力を使わなくてもデフォで)だけなので警戒する必要がない。 のだが……俺も別に前の口調の方がいい。というわけではないので特になにも言わず「一人です」と言った。 「ではこちらへ」 そして主人の案内のもと、部屋(だと思う)に向かった。 ―――
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

694人が本棚に入れています
本棚に追加