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キツネさんに『どうしようか』と聞こうとしたーー。
「二人共下がって!!」
「え?」
聞こえた
と言うか頭の中に直接響いたこの感じ。
「一士コッチ!!」
「くろさ、ギィっ!?」
言葉が出ている状態でシャツの襟を引っ張られて空気の通り道を失った。
『キツネさん苦しい』
この一言も言えずに僕はされるがままにキツネさんに引きずられる。
でも、結果的にはそれでよかった。
教壇まで飛び退いたキツネさんと僕(正確には引きずれただけ)の目の前で窓枠ごと窓ガラスが大きな音を立てて砕け、その破片は床で寝ていた先輩目掛けて一気に降り注いた。
「先輩っ!!」
「一士ダメっ!!」
先輩の安否を確認しようとしたけどキツネさんが腕を引いて制した。
次の瞬間だったーー。
先輩が寝ていた場所に黒い大きな翼が衝立のような感じでいた。
僕がその翼を黒崎のだと理解するのに時間はかからなかった。
でも、翼が隠していた視界の中の光景を理解するのには時間が必要だった。
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