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「今のは『九十九依り代』で本物の神坂先輩ではないので心配はないよ」
「つくもよりしろ?」
「九十九神って聞いた事は?」
「あの、物でも長く使うと魂が宿るってアレだろ?」
「そう、それの紙……本とかがどういう訳が妖怪化したのが九十九依り代、しかも霊力の強い人間に引かれるんだ」
黒崎は床に残された残骸を僕に手渡した。
見た限り、後ろの小部屋に蔵書されている古書と変わらなかった。
でもキツネさんが覗き込んだ瞬間、僕の手のひらに載せていた紙片がゆっくりとキツネさんの方に動き出した。
「見た通りだ」
「良人どうするの?」
「直接触れないようにしてダメージを与えるんだ、稲葉さんなら狐火で」
『分かった』と言ってキツネさんは人指し指を出し、指先に小さな灯火を出す。
それを見てから僕はゆっくりと手のひらを逆さに返す、紙片は落下しながらも確実にキツネさんに向かっていった。
「……えいっ」
指先から銃弾を射ち出すようにして狐火を発射して紙片を射ち落とした。
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