1、始まりの瞬間

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ビニール傘をさして、男の子の方へ走って向かってる制服を着た、男子学生が 私の横を通り過ぎたのだ。 学生はあっという間に親子の所に行き、男の子に事情を聞いていた。 その小さな男の子は、しゃくりあげながら言う。 『風船、この木のっ上に…ヒックッ引っかかっちゃったの…』 と、すぐ側にある大きい木を男の子が指差す。 学生が、木の上を見る。 つられて、私も見ると高い高い木の上の枝に水色の風船がひっかかっていた。 …さすがにあれは登らないととれないだろう。
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