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「ハンバーグってサキの大好物じゃん!良かったねー」
「んふ、そうですねぇ…俺のこと好きなんですか?執事さん」
「一ヶ月分の献立は決められてるので」
席についた四人の目の前に出来たてのハンバーグと炊き立てのご飯、そしてお味噌汁を置いていく。麗様は無表情でそれをじっと見つめて純也様は相変わらずの仏教面、雅則様は一々大きな反応を見せるし、一樹様はハンバーグをじっと見つめている(どんだけ好きなんだ…)
四人分、きちんと準備し終わってから自分の分も置くとじっと純也様に見つめられているのに気が付いた。何事かと思いながら上を脱いで席につく。
料理と人間が揃い手を合わせ静止していたが、周りを見渡せばもう全員食べ始めていた。一緒に号令なんて期待した自分が馬鹿だったかなぁと思いつつ小さな声で一人で「いただきます」と言った。
「うんまい!」
「やっぱハンバーグは美味しいですね、どんなものでも」
「その言い方だと不味いみたいじゃん…」
「あー、確かに。大丈夫ですよ、ちゃんと美味しいですから。ご褒美に後でちゅーしてあげますね?」
「そんなご褒美いりません」
「あらあら、つれないですねぇー」
「食事中くらい黙っていられないのか、煩い」
「貴方は食事すら楽しめないんですか?」
「お二人とも、食事中に口喧嘩なんて行儀がよろしくないですよ」
「元々、行儀がよろしくないんでね」
「だろうな」
「っ、あんたねぇ…!」
「あーもうっ!二人とも黙って食べなよ!折角の料理が美味しくなくなっちゃうでしょ!」
元々相性が悪いのか食事中にも関わらず喧嘩を始めた純也様と一樹様の姿に俺はため息をついて制止の言葉をかけるものの、二人の喧嘩は止まりそうにない。もう一度声を荒げて制止してみようと俺が口を開いた瞬間に何時もは温厚な雅則様が大きな声を出して二人を睨みつける。雅則様の様子に俺だけでなく当の二人も驚いたのだろうしんと静まりかえる室内。
二人が喧嘩を止めたのを見ると雅則様は何時ものように明るい笑顔を浮かべてハンバーグを食べ始めた。その姿に呆気にとられる俺、眉間にシワを寄せる純也様とため息をつく一樹様。しかし、誰も雅則様に文句を言うようなことはせず静寂を保ったまま夕食は終わった。
兄弟仲睦まじく食事…となるには時間がかかりそうだ。
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