第壱夜 御曹司。

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「では、なにかありましたらこちらに連絡してください」 その一言だけを残して影村さんは必要最低限の私物だけを持って屋敷を去ってしまった。俺に残されたのは頼みの綱になるであろう影村さんの電話番号と多大な不安だけ。 何時間後かには4人の御曹司が来ると思うと吐き気さえしそうだ(影村さんは大丈夫だっていってくれたけど…)(、一人でこのでかい屋敷に残された不安が半端ないな) ふっと小さくため息をついて御曹司が暮らすことになる各部屋の掃除を始める。 彼らの趣味や趣向を反映しているのかそれぞれ場所も大きさも様々だ。 長男の麗様の部屋は彼の仕事柄か絵を描いたり陶芸をしたりするのに適したようなもの、スペースが多く逆にベッドは俺の部屋より小さいんじゃないかと言った大きさだ(俺の部屋のと交換してほしいよ…)(、でかすぎて落ち着かないんだよな、あれ) 二男の雅則様の部屋は彼が大学生ということもあり論文の参考になるようにと様々な分野の専門書が入っている大きな本棚がある(…俺が読みたい)そして彼は動物が好きということからか動物が買えるようにとゲージであったり、籠であったりというものが置いてある。 三男の一樹様の部屋はゲームが好きということからか大きなテレビと全てのゲーム機が揃っていて彼が好きなゲームソフトも揃っている。そしてこの部屋で一番目を引くのは一際大きなベッド。俺の部屋のも相当でかいと思っていたのにそれの倍はあろうかという大きさだ(プロフィールの写真を見た感じ小柄な人だしな)(…どういうことなんだろう?) そして、四男の純也様の部屋は生活に最低限のものしか置いていないばかりじゃなく他の部屋にあるようなテレビ等の娯楽道具が全くない(流石にここまで極端だと息がつまりそうな気がするけど…)そして他の三人と部屋が離れているっていうのもこの部屋特有の特徴だ。 そんな感想を抱きながらきちんと部屋を掃除し終えると階段を下りて台所へと向かい夕食の準備をする。今までは二人分だったけど今日から一気に五人分に増えるのかと思うとまたため息がでそうになって慌ててやめる(ため息つくと)(、影村さんに怒られるんだよ…) そんなことをして過ごしているとおもむろにインターフォンが鳴った(…来た!) .
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