第壱夜 御曹司。

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慌てて玄関まで向かって乱れた服装を整え乱れた息を整えてから扉へと手をかける。 緊張した面持ちで俺が開けると目の前には俺よりも背の高い人が立っていて思わず顔を見上げると(こんなに身長高かったんだ…)雅則様が笑顔でこちらを見つめていて、慌てて頭を下げてからにっこりとこちらも笑いかける。 「お待ちしておりました、雅則様。本日より雅則様たちのお世話をさせていただきます、紅花と申します」 「よろしくねー、えーっと…ひつじちゃん!」 「…執事、の紅花翔太です」 「だからひつじのはなちゃんでしょ?」 爽やかな笑顔と共に何も間違っていないと言いたげなテンションで話す雅則様に俺は頭痛を感じながら(ここまで頭が悪いなんて聞いてないって)雅則様が持っている荷物を受け取り取りあえず大広間まで案内するために二人で歩き出した。 きょろきょろと辺りを挙動不審に見回す雅則様に内心落ち着きがない人だな、なんて思いながらもそんなこと口にできないしあんまり慣れ慣れしく話しかけても駄目なんだろうなと思って俺が黙って歩いていると雅則様から話しかけてきてくれた。 「広いねー、うちより全然広いや」 「そうなんですか?てっきり雅則様たちはここより立派なお住まいなのかと思っていましたが…」 「んなことないよー、それに俺の家純和風!って感じだしこんな洋風なとこ住んだことない」 「なるほど…あ、こちらが大広間となっております」 「んぉ、ありがとー…うわ、ちょーふっかふかきもちー!」 無事に大広間まで案内すると目の前にある大きなソファーに座るなり雅則様ははしゃいでいて本当に大学生なのかなんて思いながらも何も言わずに荷物を邪魔にならないところに(後で部屋に持っていこうっと)おいてから雅則様をもう一度見るとソファーに寝そべって生地に頬擦りしていた。 マイペースというかなんというか…彼のプロフィールを見てなんとなく心構えはしていたけど、実物を観ちゃうと早くもこの人とやっていけるのかと不安になってきた…(いや、くじけちゃだめだ)(頑張るんだ!翔太!) 「…そんなに気持ちいいですか?」 「うん!ひつじちゃんもする?」 「い、いや…俺は遠慮シマス…」 キラキラとした瞳で見つめられては俺としては何も言えなくて苦笑いを浮かべているとまたインターフォンが鳴る音が聞こえ、大広間に彼を残し俺はまた玄関へと向かった。 .
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